京洛のほぼ中央、烏丸高辻に伽藍を構える因幡堂平等寺は、平安時代の創建時にさかのぼる本尊薬師如来立像を祀る古刹です。この本尊薬師如来は、天竺の霊像で因幡国(鳥取県)から都に飛来してきたと伝えられ、善光寺阿弥陀三尊像・清涼寺釈迦如来立像とともに、「日本三如来」と称されます。この創建にまつわる説話は、鎌倉時代の「因幡堂縁起絵巻」に綴られ、創建後は市中の「町堂(辻堂)」として京都の町衆の篤い信仰に支えられてきました。
 この度の企画展は、平等寺本堂の修復工事が行われるのにあわせ、同寺の本尊をはじめとする霊宝のすべてを、現在は東京国立博物館が所蔵する「因幡堂縁起絵巻」1巻(重文)とともに展示する初めての機会となります。
 本講座では、これまで全貌が明らかでなかった洛中の隠れた古刹、平等寺の歴史、美術を紐解きます。